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待ちかねてさ夜もふけひの浦風に
頼めぬ浪の音のみぞする

歌の意味
待ちかねているうちに夜も更けて、吹飯の浦の浦風に乗って、あてにもならない波の音ばかりが聞こえてくることだ。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 879

詞書「寄浦恋といへる心を詠める」
 「浦に寄する恋」の題で詠んだ歌である。待ちかねて夜も更け、吹飯の浦の浦風に、あてにならない波の音ばかりがする、と詠む。和泉国の吹飯の浦の名に夜の「更け」を掛け、恋しい人の訪れを待ちわびるうちに夜が更けていくさまを、浦風に運ばれる波音に重ねて表している。訪れを約束したわけでもない波の音だけが響くという描写に、待つ身の寂しさを託している。
 作者の「二条院内侍参河」は二条天皇に仕えた女房である。

 初句「待ちかねて」は恋しい人の訪れを待ちきれずに、待ちわびて、の意である。
 二句「さ夜もふけひの」の「さ夜」は夜のことで、「さ」は語調を整える接頭語である。「ふけひ」は、夜が「更け」の意と、和泉国の地名「吹飯」とを掛ける。
 三句「浦風に」は吹飯の浦に吹く風に、の意で、題の「浦」に当たる。「吹飯」の「吹」と「風」とが響き合う。
 四句「頼めぬ浪の」の「頼む」は下二段活用で、あてにさせる、期待させる意である。「ぬ」は打消の助動詞で、訪れを期待させるものでもない波の、の意となる。
 結句「音のみぞする」の「のみ」は限定の副助詞、「ぞ」は強意の係助詞で、「する」と連体形で結ぶ。波の音ばかりがする、と待つ人の訪れのないことを暗示して結ぶ。

ふけひ:夜が「更け」の意と、和泉国の地名「吹飯」とを掛ける
たのむ:下二段活用で、あてにさせる、期待させる
作者
二条院内侍参河
出典
千載和歌集
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心さへ我にもあらずなりにけり 恋は姿の変はるのみかは
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