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心さへ我にもあらずなりにけり
恋は姿の変はるのみかは

歌の意味
心までも、自分のものではないようになってしまった。恋とは、姿が変わるだけのものであろうか、いやそうではない。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 878

詞書「題しらず」
 心までも我を失ってしまった、恋は姿が変わるだけであろうか、いやそうではない、と詠む。恋に悩んでやつれ、姿が変わるのは知られたことであるが、それだけではなく、心までが自分のものでなくなってしまったと、恋による心身の変わり果てたさまを嘆いている。外見の変化と心の変化とを重ね、恋の苦しみの深さを表している。
 作者の「源仲綱」は源頼政の子である。伊豆守などを務め、父とともに以仁王の挙兵に加わって、宇治の戦いで討死した。
 本巻の第八百六十一首は「見せばや君になれる姿を」と、恋のために変わり果てた姿を詠んでいる。本歌はその姿に加えて心まで変わると詠み、姿の変化を詠む歌が巻中で呼応している。

 初句「心さへ」の「さへ」は添加の副助詞で、姿だけでなく心までも、の意である。結句の「姿の変はるのみかは」と対応する。
 二句「我にもあらず」は我を失う、自分が自分でないようになる意である。
 三句「なりにけり」の「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「けり」は気づきの詠嘆で、なってしまったのだ、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「恋は姿の」の「姿」は恋にやつれた容姿のことである。本巻の第八百六十一首の結句「なれる姿を」と通じる。
 結句「変はるのみかは」の「のみ」は限定の副助詞、「かは」は反語の係助詞で、変わるだけであろうか、いやそうではない、の意である。初句の「心さへ」と呼応して結ぶ。

われにもあらず:我を失う、正気でなくなる
作者
源仲綱
出典
千載和歌集
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秋風の憂き人よりもつらきかな 恋せよとては吹かざらめども
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待ちかねてさ夜もふけひの浦風に 頼めぬ浪の音のみぞする