人心あらずなれどもすみよしの
松のけしきは変はらざりけり
- 歌の意味
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人の心は昔のようではなくなってしまったけれども、住吉の松の様子は少しも変わらないことだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1033
詞書「津守国基みまかりてのち、住吉にも住まずなりにけるを、有基に具してあからさまに下りて侍りけるに、人の心も変はりてのみ見えければ、松の本を削りて書きつけ侍りける」
津守国基が亡くなったのち、住吉にも住まなくなっていたが、有基とともにほんのしばらく住吉に下ったところ、人の心もすっかり変わってしまったように見えたので、松の根元を削って書きつけた歌である。人の心は昔のようではなくなったけれども、住吉の松の様子は変わらないことだ、と詠む。国基の亡きあと、住吉の人々の態度が冷たく変わったことを嘆きながら、住吉の松だけは昔のままであると、変わりやすい人の心と変わらぬ松を対比している。
作者の「津守景基」は住吉神社の神主であった津守国基の子とされる。
本巻の第九百九十五首と結句「変はらざりけり」を共有し、移ろう人の世と変わらぬ自然を対比する点で通っている。また本巻の第千三十一首の「何事も変はりゆくめる世の中に」とも、人の世の変わりやすさを詠む点で通う。
初句「人心」は、人の心、人情の意である。
二句「あらずなれども」の「あらず」は以前とは違う意で、昔のようではなくなったけれども、の意である。
三句「すみよしの」の「すみよし」は、地名の住吉の意と、住み良い意を掛ける掛詞である。住み良くもない身の上を響かせている。
四句「松のけしきは」は、住吉の松の様子は、の意である。住吉の松は長寿と不変の象徴とされた。
結句「変はらざりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、変わらないことだ、の意である。本巻の第九百九十五首の結句と同じ句である。
すみよし:地名の住吉の意と、住み良しの意を掛ける
みまかる:死ぬ
けしき:様子、ありさま
- 作者
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津守景基
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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今日見れば長柄の橋は跡もなし 昔ありきと聞きわたれども
- 次の歌
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白雲にまがひやせまし吉野山 落ち来る滝の音せざりせば