春霞絵島が崎をこめつれば
波のかくとも見えぬ今朝かな
- 歌の意味
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春霞が絵島が崎をすっかり包み込めてしまったので、波が打ちかかっているとも見えない今朝であることよ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1050
詞書「眺望の心を詠める」
前歌と同じく「眺望」の題で詠んだ歌である。春霞が絵島が崎を包みこめたので、波がかかるとも見えない今朝であることよ、と詠む。いつもは岩に打ち寄せる白波の見える絵島が崎も、今朝は春霞にすっかり包まれて、波の打ちかかる様子さえ見えないという、春の朝のおぼろな海の景を描いている。「かく」には、「絵島」の「絵」から「描く」が響いている。
作者の「藤原重綱」は平安時代後期の歌人で、伝記の詳細は明らかでない。
本巻の第九百八十九首、第九百九十首と「絵島」を共有する。月夜の絵島を詠んだ二首に対し、本歌は春霞の朝の絵島を詠む。また前歌の第千四十九首と「霞」を共有している。
初句「春霞」は、春に立ちこめる霞である。前歌の第千四十九首の四句「霞に浮かぶ」と応じる。
二句「絵島が崎を」は、淡路島の北端にある絵島の崎で、歌枕である。本巻の第九百八十九首の四句「絵島が崎に」と同じ地を詠む。
三句「こめつれば」の「こむ」は、すっかり包み込む意、「つれ」は完了の助動詞「つ」の已然形で、包み込めてしまったので、の意である。
四句「波のかくとも」の「かく」は、波が打ちかかる意で、「絵島」の「絵」から「描く」を響かせている。
結句「見えぬ今朝かな」の「ぬ」は打消しの助動詞「ず」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞で、見えない今朝であることよ、の意である。
ゑしま:淡路島の北端にある小島、歌枕
こむ:すっかり包み込む、立ちこめる
かく:波が打ちかかる
- 作者
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藤原重綱
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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難波潟潮路はるかに見渡せば 霞に浮かぶ沖の釣舟
- 次の歌
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行く年は波とともにや返るらん 面変はりせぬ和歌の浦かな