いにしへに変はらざりけり山桜
花は我をばいかが見るらん
- 歌の意味
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昔と少しも変わらないことだ、山桜は。その花のほうは、姿の変わった私をどのように見ているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1055
詞書「頭下ろして後、東山の花見侍りけるに、円城寺の花面白かりけるを見て、詠み侍りける」
出家した後、東山で花見をした折に、円城寺の花が見事であったのを見て詠んだ歌である。昔と変わらないことだ、山桜は、花は私をどのように見ているのだろうか、と詠む。花は昔のままに咲いているが、それを見る自分は髪を下ろして僧の姿に変わっている。花の側に立って、変わり果てた自分がどう見えるだろうかと想像し、出家の身の感慨をさりげなく表している。
作者の「前中納言基長」は藤原基長である。藤原能長の子で、権中納言に至り、のちに出家した。
初句「いにしへに」は、昔に比べて、の意である。
二句「変はらざりけり」の「けり」は詠嘆で、昔と変わらないことだ、の意である。ここで句切れとなる。本巻の第千六十五首の四句「昔にかはる」と、昔に変わるか変わらないかをめぐって対をなす。
三句「山桜」は、円城寺に咲く山の桜である。本巻の第千七十二首も初句に「山桜」を置く。
四句「花は我をば」の「をば」は目的を示す「を」を強めた形で、花の側から作者を見る視点に転じている。
結句「いかが見るらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、どのように見ているのだろうか、の意である。
かしらおろす:髪を剃って出家する
ひがしやま:京の東に連なる山々
- 作者
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藤原基長
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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宿も宿花も昔に匂へども 主なき色は寂しかりけり
- 次の歌
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雲の上の春こそさらに忘られね 花は数にも思ひ出でじを