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年ごとに涙の川に浮かべども
身は投げられぬ物にぞありける

歌の意味
毎年、除目のたびに涙の川に身を浮かべるほど泣くけれども、それでもこの身は投げ捨てることのできないものであることだ。
鑑賞
巻第十七 雑歌中 1063

詞書「除目の頃、司賜はらで嘆き侍りける時、範永がもとに遣はしける」
 除目のころ、官職をいただけずに嘆いていた時に、藤原範永のもとに贈った歌である。毎年涙の川に浮かぶほど泣くけれども、身は投げられないものであることだ、と詠む。毎年の除目で任官に漏れ、そのたびに川となるほどの涙を流しながらも、その川に身を投げることはできないと、不遇を嘆きつつも生き続けるほかない身のつらさを詠んでいる。
 作者の「大江公資」は平安時代中期の官人で、歌人の相模を妻としたことで知られる。
 本巻の第千百十八首の三句「涙川」と、涙の川を共有する。

 初句「年ごとに」は、毎年、の意で、毎年の除目のたびに任官に漏れることを言う。
 二句「涙の川に」は、流す涙が川となるほどであることを言う。本巻の第千百十八首の三句「涙川」と涙の川を共有し、ともに不遇を嘆く涙を詠む。
 三句「浮かべども」は、身を浮かべるけれども、の意で、涙の川に浮かぶほど泣き暮らすことを言う。逆接で下の句へ続く。
 四句「身は投げられぬ」の「れ」は可能の助動詞「る」の未然形、「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形で、身を投げることができない、の意である。「浮かぶ」「投ぐ」は川の縁語である。
 結句「物にぞありける」の「ぞ」は強意の係助詞で、詠嘆の助動詞「けり」の連体形「ける」で結ぶ。

ぢもく:官職を任命する儀式
つかさ:官職
たまはる:「受く」の謙譲語、いただく
作者
大江公資
出典
千載和歌集
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かくてだになほあはれなる奥山に 君来ぬ夜々を思ひ知らなん
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思ふことなくてや春を過ぐさまし 憂き世隔つる霞なりせば