老いが世に宿に桜を移し植ゑて
なほ試みに花を待つかな
- 歌の意味
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老いた身の残り少ない世に、我が家に桜を移し植えて、それでもなお試しに、その花の咲くのを待つことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1075
詞書「家に桜を植ゑて詠み侍りける」
家に桜を植えて詠んだ歌である。老いた身の世に宿に桜を移し植えて、なお試みに花を待つことだ、と詠む。老い先の短い身でありながら、家に桜を植え、その花が咲くまで生きられるかを試すかのように、なお花を待っている。老いの寂しさを抱きながらも花を待つ心を失わない姿に、ほのかなおかしみと切なさがある。
作者の「源師教朝臣」は平安時代後期の歌人で、伝記の詳細は明らかでない。
巻頭の第千五十二首が、老いを自覚して後の春をいつ見られるかと詠んだのと、老いの身で花を思う心が通う。巻頭から続いた花の歌は本歌で終わる。
初句「老いが世に」は、老いた身の残り少ない世に、の意である。
二句「宿に桜を」は、我が家に桜を、の意である。
三句「移し植ゑて」は、よそから移して植えて、の意である。六音の字余りである。
四句「なほ試みに」は、それでもなお試しに、の意で、花の咲くまで生きていられるかを試すような心を言う。
結句「花を待つかな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。次歌の第千七十六首の二句「花を待つこそ」と「花を待つ」を共有する。
やど:住まい、家
こころみ:試すこと
- 作者
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源師教
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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深く思ふことし叶はば来む世にも 花見る身とやならんとすらん
- 次の歌
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位山花を待つこそ久しけれ 春のみやこに年は経しかど