位山花を待つこそ久しけれ
春のみやこに年は経しかど
- 歌の意味
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位山で花の咲くのを待つことは、ほんとうに久しいことだ。春宮に仕えて、都で長い年月を過ごしてきたけれども。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1076
詞書「高倉院春宮の御時、権亮に侍りけるを参議にてほど経侍りける頃、賀茂社歌合とて人々詠み侍りけるに、述懐の歌とて詠み侍りける」
高倉院が春宮であった時に春宮権亮として仕え、その後参議となって久しく昇進のないまま年月を経たころ、賀茂社の歌合で人々が歌を詠んだ折に、述懐の歌として詠んだ歌である。位山に花を待つことこそ久しいことだ、春の宮のある都で年は経たけれども、と詠む。春宮に仕えた者として目をかけられるはずの身でありながら、参議のまま長く据え置かれていることを、位山に花の咲くのを待つことにたとえて嘆いている。
作者の「権中納言実守」は藤原実守である。右大臣藤原公能の子で、権中納言に至った。藤原実定、実家の弟にあたる。
本巻の第千百十五首と「位山」を共有し、ともに官位の昇進がかなわない嘆きを詠む。本歌から、身の不遇を嘆く述懐の歌が続く。
初句「位山」は飛騨国の歌枕で、「位」の名から官位の昇進にたとえて詠まれる。本巻の第千百十五首の三句「位山」と同じ歌枕である。
二句「花を待つこそ」は、昇進を花の咲くことにたとえ、その時を待つことを言う。「こそ」は強意の係助詞で、三句の「けれ」で結ぶ。前歌の第千七十五首の結句「花を待つかな」と「花を待つ」を共有する。前歌が実際の花を待つのに対し、本歌は昇進を花にたとえて待っている。
三句「久しけれ」は、形容詞「久し」の已然形で、係り結びの結びである。ここで句切れとなる。
四句「春のみやこに」の「みやこ」は、皇太子を意味する「春の宮」の「宮」と「都」を掛ける掛詞である。春宮に仕えて都で過ごしたことを言う。
結句「年は経しかど」の「しか」は過去の助動詞「き」の已然形、「ど」は逆接で、年月を過ごしたけれども、の意である。倒置によって三句に返る。
くらゐやま:飛騨国の歌枕で、官位の昇進にたとえて詠まれる
はるのみや:皇太子、春宮
ごんのすけ:春宮坊などの次官である亮の権官
みやこ:「春の宮」の「宮」と「都」を掛ける
- 作者
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藤原実守
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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老いが世に宿に桜を移し植ゑて なほ試みに花を待つかな
- 次の歌
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春日山松に頼みをかくるかな 藤の末葉の数ならねども