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山里の寂しき宿の住みかにも
かけひの水の解くるをぞ待つ

歌の意味
山里の寂しい宿の住まいにあっても、筧の水の氷が解けて春が来るのを待っていることだ。
鑑賞
巻第十七 雑歌中 1104

詞書「返し」
 前歌の第千百三首に対する聡子内親王の返歌である。山里の寂しい宿の住まいにも、筧の水の解けるのを待っている、と詠む。弟宮が凍った筧の水の寂しさを思いやってくれたのに対し、寂しい山里の住まいではあるが、自分はその氷が解けて春が訪れるのを心待ちにしていると答えている。寂しさを受け止めながらも、春を待つ明るさを失わない返歌である。
 作者の「聡子内親王」は後三条天皇の第一皇女である。一品に叙せられ、仁和寺のあたりに住んだ。
 前歌の第千百三首への返歌で、前歌の初句「山里の」を初句に、「かけひの水の」を四句に用い、「寂しかりけり」を「寂しき宿の」と受け、「凍れる」に「解くる」で応じている。

 初句「山里の」は、前歌の第千百三首と同じ初句である。
 二句「寂しき宿の」は、寂しい住まいの、の意で、前歌の結句「寂しかりけり」を受けている。
 三句「住みかにも」は、住まいにあっても、の意である。
 四句「かけひの水の」は、前歌の第千百三首の二句と同じ語である。
 結句「解くるをぞ待つ」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形の「待つ」で結ぶ係り結びである。前歌の「凍れる」に「解くる」で応じ、春の訪れを待つ心を込めている。

すみか:住まい
とく:凍ったものが解ける
作者
聡子内親王
出典
千載和歌集
前の歌
山里のかけひの水の凍れるは 音聞くよりも寂しかりけり
次の歌
このもとにかき集めたる言の葉を 別れし秋の形見とぞ見る