山里のかけひの水の凍れるは
音聞くよりも寂しかりけり
- 歌の意味
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山里の筧の水が凍っているのは、その水の音を聞くよりもいっそう寂しいことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1103
詞書「一品聡子内親王、仁和寺に住み侍りける冬頃、かけひの氷を三の御子のもとに送られて侍りければ、遣はしける」
一品聡子内親王が仁和寺に住んでいた冬のころ、筧の氷を三の御子のもとに送ってきたので、その返礼として贈った歌である。山里の筧の水の凍っているのは、音を聞くよりも寂しいことだ、と詠む。山里の筧から流れる水の音は寂しいものだが、その水さえ凍って音も立てなくなったありさまは、いっそう寂しいと言い、姉宮の山里住まいの冬の寂しさを思いやっている。
作者の「輔仁のみこ」は後三条天皇の第三皇子である。白河天皇の弟にあたり、詩歌に優れた。聡子内親王は後三条天皇の第一皇女で、輔仁親王の姉にあたる。
次歌の第千百四首は、本歌に対する聡子内親王の返歌である。また本巻の第千九十二首と初句「山里の」を共有する。
初句「山里の」は、仁和寺のある山里の、の意である。次歌の第千百四首、本巻の第千九十二首と同じ初句である。
二句「かけひの水の」は、竹や木をつないで水を引く筧の水の、の意である。次歌の第千百四首の四句「かけひの水の」と同じ語である。
三句「凍れるは」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、凍っているのは、の意である。
四句「音聞くよりも」は、筧の水の音を聞くよりも、の意で、流れる音さえ絶えた静けさを言う。
結句「寂しかりけり」の「けり」は詠嘆である。次歌の第千百四首の二句「寂しき宿の」に受けられている。
かけひ:竹や木をつないで水を引く樋
いつぽん:親王、内親王の位の第一位
- 作者
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輔仁親王
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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昔見し松の梢はそれながら むぐらの門をさしてけるかな
- 次の歌
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山里の寂しき宿の住みかにも かけひの水の解くるをぞ待つ