秋の夜は同じ尾上に鳴く鹿の
更けゆくままに近くなるかな
- 歌の意味
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秋の夜は、同じ峰の上で鳴いている鹿の声が、夜が更けてゆくにつれて近く聞こえてくることだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 309
詞書「題しらず」
秋の夜、同じ峰の上で鳴いているはずの鹿の声が、夜が更けてゆくにつれて近くに聞こえてくる、と詠む。鹿の居場所は変わらないのに、夜が深まって辺りが静まるほど声が近く感じられるという、耳でとらえた微妙な変化を詠んでいる。
作者の「輔仁のみこ」は輔仁親王である。後三条天皇の第三皇子で、三宮と呼ばれた。詩歌や管弦に優れ、その邸には多くの文人や歌人が集った。
初句「秋の夜は」は、時を示す。本巻の第三百四首も同じ初句を置く。
二句「同じ尾上に」の「尾上」は山の頂、峰の上をいう。「同じ」は、鹿の居場所が変わっていないことを強調する。
三句「鳴く鹿の」は、四句以下に続いて、その声が近くなることをいう。
四句「更けゆくままに」の「ままに」は、〜につれて、の意で、夜の深まりと声の近づきとを結びつける。
結句「近くなるかな」の「かな」は詠嘆で、声が近く聞こえることへの驚きをこめて結ぶ。
をのへ:山の頂、峰の上
- 作者
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輔仁親王
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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杣方に道やまどへるさを鹿の 妻問ふ声のしげくもあるかな
- 次の歌
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さを鹿の鳴く音は野辺に聞こゆれど 涙は床のものにぞありける