思ひやれならはぬ山にすみ染の
袖に露置く秋の気色を
- 歌の意味
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思いやってほしい。住み慣れない山に住み始めて、墨染の衣の袖に露が置く、この秋のありさまを。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1148
詞書「源清雅、九月ばかりに様変へて山寺に侍りけるを、人の問ひて侍りける返り事せよと申し侍りければ、詠みて遣はしける」
源清雅が九月ごろに出家して山寺にいた時、人が見舞いの便りをくれたので、その返事を代わりに詠んでくれと頼まれ、詠んで贈った歌である。思いやってほしい、慣れない山に住み初めて、墨染の袖に露が置く秋のありさまを、と詠む。出家したばかりの清雅の身になって、住み慣れない山で僧衣をまとい、秋の露と涙に袖を濡らして暮らす心細さを、見舞ってくれた人に伝えている。
作者の「源通清」は平安時代後期の歌人で、伝記の詳細は明らかでない。
前歌の第千百四十七首と三句「すみ染の」を共有する。また本巻の第千八十四首と初句「思ひやれ」を共有し、ともに心細い境遇を相手に思いやるよう求めている。
初句「思ひやれ」は命令形で、思いやってほしい、の意である。ここで句切れとなり、結句の「秋の気色を」と倒置の関係にある。本巻の第千八十四首と同じ初句である。
二句「ならはぬ山に」は、住み慣れない山に、の意である。
三句「すみ染の」の「すみ」は、「住み」と「墨」を掛ける掛詞で、山に住み始めた意と、墨染の衣の意を重ねている。前歌の第千百四十七首の三句と同じ言葉である。
四句「袖に露置く」は、袖に露が置く、の意で、露に涙を重ねている。
結句「秋の気色を」は、秋のありさまを、の意で、初句の「思ひやれ」の対象を示している。
ならふ:慣れる、なじむ
すみぞめ:「墨染」と「住み初め」を掛ける
- 作者
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源通清
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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世を背き草の庵にすみ染の 衣の色はかへるものかは
- 次の歌
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暁の嵐にたぐふ鐘の音を 心の底にこたへてぞ聞く