見る夢の過ぎにし方を誘ひ来て
覚むる枕も昔なりせば
- 歌の意味
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見る夢が過ぎ去った昔を誘い連れてきて、目覚めた時の枕もとまでが昔のままであったならば、どんなにうれしいことだろう。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1153
詞書「題知らず」
見る夢が過ぎ去った昔を誘ってきて、覚める枕も昔であったならば、と詠む。夢の中では懐かしい昔に戻ることができるが、目覚めれば現実に引き戻される。夢が昔を連れてきてくれたように、目覚めた後の枕もとまでも昔のままであったならどんなによいだろうと、帰らない過去への思慕を、下の句を言いさした形で余韻深く詠んでいる。
作者の「藤原宗隆」は権中納言藤原長方の子である。
次歌の第千百五十四首と「昔」を共有し、ともに遠くなった昔を慕う。また本巻の第千百二十五首の四句「覚むれば夢の」と「夢」「覚む」を共有する。
初句「見る夢の」は、見る夢が、の意である。
二句「過ぎにし方を」は、過ぎ去った昔を、の意である。
三句「誘ひ来て」は、誘って連れてきて、の意である。
四句「覚むる枕も」は、目覚めた時の枕も、の意である。本巻の第千百二十五首の四句「覚むれば夢の」と「覚む」を共有する。
結句「昔なりせば」の「せ」は過去の助動詞「き」の未然形で、「ば」とともに事実に反する仮定を表す。昔のままであったならば、の意で、その後に、うれしいだろう、などの結びが略され、余情を残している。次歌の第千百五十四首の四句「昔の遠く」と「昔」を共有する。
すぎにしかた:過ぎ去った昔
- 作者
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藤原宗隆
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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思ふことありあけがたの鹿の音は なほ山深く家居せよとや
- 次の歌
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初瀬山入相の鐘を聞くたびに 昔の遠くなるぞ悲しき