駒並めていざ見に行かん竜田川
白波寄する岸のあたりを
- 歌の意味
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馬を並べて、さあ見に行こう。竜田川の白波が打ち寄せる岸のあたりを。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1167
詞書「二条院御時、こいたしきといふ五字を句の上に置きて、旅の心を詠める」
二条天皇の御代に、「こいたしき」という五文字を各句の頭に置いて、旅の心を詠んだ折句の歌である。馬を並べてさあ見に行こう、竜田川の白波が寄せる岸のあたりを、と詠む。各句の頭を拾うと「こ」「い」「た」「し」「き」となり、清涼殿の殿上の間の南にある「小板敷」の名が詠み込まれている。宮中の場所の名を題としながら、連れ立って名所の竜田川へ出かける、心弾む旅の歌に仕立てている。
作者の「源雅重朝臣」は平安時代後期の官人で、伝記の詳細は明らかでない。
本歌と次歌の第千百六十八首は、本巻に収められた二首の折句の歌で、ともに旅の心を詠んでいる。なお本文の初句は「こまなめて」とあり、読み仮名の行の「こまなへて」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「駒並めて」の「駒」は馬、「並めて」は並べて、の意で、仲間と馬を連ねて出かける様子を言う。折句の「こ」を置いている。
二句「いざ見に行かん」の「いざ」は人を誘う語で、「ん」は意志の助動詞である。さあ見に行こう、の意で、ここで句切れとなる。折句の「い」を置いている。
三句「竜田川」は大和国の歌枕で、紅葉の名所として知られる川である。折句の「た」を置いている。
四句「白波寄する」は、白波が打ち寄せる、の意である。折句の「し」を置いている。
結句「岸のあたりを」は、二句の「見に行かん」の目的を示し、倒置となっている。折句の「き」を置いている。次歌の第千百六十八首も、句の頭に五文字を置いて旅の心を詠む折句の歌である。
こいたじき:清涼殿の殿上の間の南にある板敷き、本歌では折句の題
をりく:各句の頭に物の名などを一字ずつ置いて詠む技法
こま:馬
- 作者
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源雅重
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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世の中は憂き身に添へる影なれや 思ひ捨つれど離れざりけり
- 次の歌
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なにとなく物ぞ悲しき秋風の 身にしむ夜半の旅の寝覚めは