なにとなく物ぞ悲しき秋風の
身にしむ夜半の旅の寝覚めは
- 歌の意味
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なんということもなく、もの悲しいことだ。秋風が身にしみる夜更けの、旅寝の目覚めは。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1168
詞書「なもあみだの五字を上に置きて、旅の心を詠める」
「なもあみだ」の五文字を各句の頭に置いて、旅の心を詠んだ折句の歌である。なんとなくもの悲しい、秋風が身にしみる夜半の旅の寝覚めは、と詠む。各句の頭を拾うと「な」「も」「あ」「み」「た」となり、「南無阿弥陀」の名号が詠み込まれている。旅の夜の寂しさを詠みながら、その句の頭に念仏を忍ばせており、旅寝の心細さが仏にすがる心へと通う趣がある。
作者の「仁上法師」は平安時代後期の僧で、伝記の詳細は明らかでない。
前歌の第千百六十七首に続く折句の歌で、ともに旅の心を詠む。前歌が宮中の場所の名を詠み込んで心弾む旅を詠んだのに対し、本歌は仏の名号を詠み込んで旅の夜の寂しさを詠んでおり、明るさと寂しさとで対をなしている。
初句「なにとなく」は、これといった理由もなく、の意である。折句の「な」を置いている。
二句「物ぞ悲しき」の「ぞ」は強意の係助詞で、形容詞「悲し」の連体形「悲しき」で結ぶ。ここで句切れとなり、三句から結句が倒置によってその時を示す。折句の「も」を置いている。
三句「秋風の」は、秋風が、の意で、四句の「身にしむ」の主語となる。折句の「あ」を置いている。
四句「身にしむ夜半の」の「身にしむ」は身にしみとおる、「夜半」は夜更けの意である。折句の「み」を置いている。
結句「旅の寝覚めは」は、旅先で夜中にふと目覚めたときは、の意で、倒置によって二句の「物ぞ悲しき」に返る。折句の「た」を置いている。前歌の第千百六十七首と同じく、旅の心を詠んで折句の二首を結んでいる。
なもあみだ:南無阿弥陀仏の略、阿弥陀仏に帰依することを表す名号
ねざめ:夜中に目が覚めること
よは:夜更け、夜中
- 作者
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仁上
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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駒並めていざ見に行かん竜田川 白波寄する岸のあたりを
- 次の歌
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夜のほどにかりそめ人や来たりけん 淀の真菰のけさみだれたる