頼もしき誓ひは春にあらねども
枯れにし枝も花ぞ咲きける
- 歌の意味
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頼もしい観音の誓いは春ではないけれども、枯れてしまった枝にも花が咲いたことだ。
- 鑑賞
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巻第十九 釈教歌 1238
詞書「観音の誓ひを思ひて詠み侍りける」
観音の誓いを思って詠んだ歌である。頼もしい誓いは春ではないが、枯れた枝にも花が咲いた、と詠む。観音の誓いは、念ずればどのような者も救うとされる。春でもないのに枯れ木に花を咲かせるほどの観音の誓いの力を、救いがたい身さえ救う慈悲として、頼もしく詠んでいる。
作者の「前大納言時忠」は平時忠である。平時信の子で、平清盛の妻時子の弟にあたる。権大納言に至ったが、平家の滅亡後に能登へ配流された。
本巻の第千二百十六首も観音の誓いを詠み、同歌が誓いを千尋の海にたとえたのに対し、本歌は枯れ木に花を咲かせる春にたとえている。次歌の第千二百三十九首とは花を共有し、本歌が咲く花を、次歌が散る花を詠んでいる。
初句「頼もしき」は、頼みに思われる、心強い、の意である。
二句「誓ひは春に」の「誓ひ」は衆生を救う観音の誓願で、「春」は花を咲かせる季節である。本巻の第千二百十六首の初句「誓ひをば」と同じく、観音の誓いを詠む。
三句「あらねども」は、ではないけれども、の意である。
四句「枯れにし枝も」の「に」は完了、「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、枯れてしまった枝も、の意である。救いがたい身をたとえている。
結句「花ぞ咲きける」の「ぞ」は強意の係助詞で、詠嘆の助動詞「けり」の連体形「ける」で結ぶ。次歌の第千二百三十九首の結句「花もありけり」と花を共有し、咲く花と散る花とが並んでいる。
ちかひ:仏や菩薩が衆生を救おうと立てた誓願
- 作者
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平時忠
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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思ひとく心ひとつになりぬれば 氷も水も隔てざりけり
- 次の歌
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春ごとに嘆きしものを法の庭は 散るがうれしき花もありけり