古典和歌stream

日の光月の影とぞ照らしける
暗き心の闇晴れよとて

歌の意味
日の光となり、月の光となって照らしてくださったのだ。暗い心の闇が晴れよと思って。
鑑賞
巻第十九 釈教歌 1245

詞書「神力品、如日月光明、能除諸幽瞑の心を詠める」
 法華経如来神力品の、日月の光明がもろもろの暗がりを除くように、という句の心を詠んだ歌である。日の光、月の影となって照らしたのだ、暗い心の闇が晴れよと、と詠む。法華経を持つ人は、日月の光が闇を除くように衆生の闇を除くと説く経文を受け、仏の教えが昼も夜も照らし続けるのは、迷う衆生の心の闇を晴らすためであると詠んでいる。
 作者の「蓮上法師」は俗名を成実という僧で、伝記の詳細は明らかでない。
 法華経の品を順に詠んだ一連の七首目である。本巻の第千二百十五首が阿弥陀仏の智恵の光を詠んだのと同じく、仏の光が衆生の心を照らす趣を詠む。

 初句「日の光」は経文の「日」を受けたもので、仏の教えの光をたとえている。
 二句「月の影とぞ」の「月の影」は月の光で、経文の「月」を受けている。「ぞ」は強意の係助詞で、三句の連体形「ける」で結ぶ。
 三句「照らしける」の「ける」は詠嘆の助動詞「けり」の連体形で、係り結びの結びとなる。ここで句切れとなる。
 四句「暗き心の」は、迷いに暗い心の、の意で、経文の「幽瞑」を受けている。
 結句「闇晴れよとて」の「晴れよ」は命令形で、「とて」は、と思って、の意である。倒置によって三句の照らすわけを示している。

じんりきほん:法華経如来神力品、仏の神通力と経を持つ者の功徳を説く
いうめい:暗くて見えないところ、迷いの闇
作者
蓮上
出典
千載和歌集
前の歌
恨みける気色や空に見えつらん 姨捨山を照らす月影
次の歌
さらにまた花ぞ降りしく鷲の山 法の筵の暮れ方の空