住吉の波も心を寄せければ
むべぞ汀に立ちまさりける
- 歌の意味
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住吉の波も、わが左方に心を寄せてくれたので、なるほど汀に一段と高く立ち、勝ちを得たのだ。
- 鑑賞
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巻第二十 神祇歌 1257
詞書「長元八年関白左大臣歌合し侍りける後、左方の方人喜びに住吉に詣でて歌詠み侍りけるに、左の頭にて詠み侍りける」
長元八年(1035)、関白左大臣藤原頼通が歌合を催したのち、勝った左方の人々が喜びの礼に住吉社に参詣して歌を詠んだ折、左方の頭として詠んだ歌である。住吉の波も心を寄せたので、なるほど汀に立ちまさったのだ、と詠む。住吉の神は和歌の神として崇められた。波が岸に寄せて高く立つさまに、神が左方に心を寄せて勝たせてくれたことを重ね、勝利の喜びと神への感謝を詠んでいる。
作者の「大納言経輔」は藤原経輔である。中納言藤原隆家の子で、中関白藤原道隆の孫にあたり、権大納言に至った。
本巻ではここから住吉社にかかわる歌が現れ、第千二百六十一首から第千二百六十五首まで住吉の歌が並ぶ。
初句「住吉の」は摂津国の住吉社のあたりで、和歌の神である住吉の神を背景にしている。本巻の第千二百六十五首の初句「住吉の」と同じ語である。
二句「波も心を」の「波」は住吉の浜に寄せる波で、住吉の神の心を託している。
三句「寄せければ」の「寄す」は波の縁語で、心を寄せる意に波が寄せる姿を重ねている。
四句「むべぞ汀に」の「むべ」は、なるほど、もっともだ、の意で、「ぞ」は強意の係助詞、結句の連体形「ける」で結ぶ。
結句「立ちまさりける」の「立ちまさる」は波がいっそう高く立つ意で、左方が勝ったことを重ねている。「ける」は詠嘆の助動詞「けり」の連体形で、係り結びの結びとなる。
かたうど:歌合などで一方の組に属する人
たちまさる:いっそう高く立つ、まさる
みぎは:水際
- 作者
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藤原経輔
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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三笠山さして来にけり石上 古き御幸の跡を尋ねて
- 次の歌
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思ふこと汲みてかなふる神なれば 塩屋に跡を垂るるなりけり