たえし比たえねと思ひし玉の緖を
君により又おしまるゝ哉
- 歌の意味
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あなたとの仲が途絶えていた頃には、いっそ絶えてしまえと思った命なのに、あなたのおかげで、また惜しく思われることだ。
- 鑑賞
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霜の朝の贈答ののち、和泉式部は風邪のためか、ひどくはないものの具合が悪くなった。帥の宮は「どうか、どうか」とたびたび見舞いの文をよこした。
女は和泉式部のことで、大江雅致の娘であり、和泉守橘道貞の妻として小式部内侍をもうけた。帥の宮は冷泉天皇の第四皇子敦道親王で、大宰帥であったことからこう呼ばれる。
具合が少しよくなった頃、帥の宮から「どうか」と尋ねる文が届いた。和泉式部は「少しよくなりましたので、もうしばらく生きていたいと思うようになりました。罪深いことですが、実は」と書いて、この歌を送った。
帥の宮は「本当にうれしいことだ」と書いて、「玉の緖はたえんものかは契りてしなかき心に結ひこめてき」と返した。
初句と第二句の「たえし比たえねと思ひし」は、仲が途絶えていた頃に、絶えてしまえと思った、という意味で、「たえ」を重ねて、帥の宮との仲の途絶えと命の途絶えとを対応させている。「ね」は完了の助動詞「ぬ」の命令形である。第三句の「玉の緖を」は、命を、の意で、「玉の緒」は玉を貫く緒から転じて命をいう。
下の句の「君により又おしまるゝ哉」は、あなたによって、また惜しく思われることだ、という意味で、「るる」は自発の助動詞「る」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞である。病から回復しかけたところで、死んでもよいと思っていた命が帥の宮のおかげで惜しくなったと打ち明け、帥の宮の存在が生きる支えとなっていることを伝えている。
玉の緒(たまのお):命。玉を貫く緒が切れやすいことから、はかない命のたとえとされる
- 作者
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和泉式部
- 出典
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和泉式部日記
- 前の歌
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君は君我は我ともへたてれは こゝろこゝろにあらん物かは
- 次の歌
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玉の緖はたえんものかは契りてし なかき心に結ひこめてき