玉の緖はたえんものかは契りてし
なかき心に結ひこめてき
- 歌の意味
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命の緒が絶えたりするものか。約束した、末長く変わらない心の中に、しっかりと結び込めてしまったのだから。
- 鑑賞
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霜の朝の贈答ののち、和泉式部は風邪のためか、ひどくはないものの具合が悪くなった。帥の宮は「どうか、どうか」とたびたび見舞いの文をよこした。
女は和泉式部のことで、大江雅致の娘であり、和泉守橘道貞の妻として小式部内侍をもうけた。帥の宮は冷泉天皇の第四皇子敦道親王で、大宰帥であったことからこう呼ばれる。
具合が少しよくなった和泉式部から、もうしばらく生きていたいと思うようになったという言葉とともに「たえし比たえねと思ひし玉の緖を君により又おしまるゝ哉」が届いた。帥の宮は「本当にうれしいことだ」と書いて、この歌を返した。
そうこうするうちに年も残り少なくなり、十一月の初め、雪の降る早朝に、帥の宮から初雪の歌が届くことになる。
初句と第二句の「玉の緖はたえんものかは」は、命の緒が絶えたりするものか、という意味で、和泉式部の歌の「玉の緖」「たえ」を受けている。「ものかは」は反語である。第三句の「契りてし」は、約束した、の意で、「てし」は完了の助動詞「つ」と過去の助動詞「き」の組み合わせである。
下の句の「なかき心に結ひこめてき」は、末長い心の中に結び込めてしまったのだ、という意味で、「長き」は緒の縁で命の長さと心の変わらなさを重ね、「結ぶ」も緒の縁語である。玉の緒、絶ゆ、長し、結ぶを縁語として連ね、二人の約束によってあなたの命はしっかり結ばれているのだから絶えはしないと、病み上がりの和泉式部を力強く励ましている。
玉の緒(たまのお):命。玉を貫く緒が切れやすいことから、はかない命のたとえとされる
契る(ちぎる):約束する、将来を誓う
- 作者
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敦道親王
- 出典
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和泉式部日記
- 前の歌
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たえし比たえねと思ひし玉の緖を 君により又おしまるゝ哉
- 次の歌
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神代よりふりはてにける雪なれと けふはことにも珍しき哉