神代よりふりはてにける雪なれと
けふはことにも珍しき哉
- 歌の意味
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神代の昔から降り続けて、すっかり古びてしまった雪ではあるが、今日はとりわけ珍しく感じられることだ。
- 鑑賞
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玉の緒の贈答ののち、年も残り少なくなり、春の訪れも近いと思われる十一月の初めのこと。雪の降る早朝、帥の宮から歌が届いた。
女は和泉式部のことで、大江雅致の娘であり、和泉守橘道貞の妻として小式部内侍をもうけた。帥の宮は冷泉天皇の第四皇子敦道親王で、大宰帥であったことからこう呼ばれる。
その冬初めての雪が降った朝、帥の宮はこの歌を和泉式部に送った。
和泉式部は「初雪といつれの冬もみしまゝに珍しけなきみのみふりつゝ」と返した。二人はこのようなたわいないやりとりをしながら日々を過ごした。
初句と第二句の「神代よりふりはてにける」は、神代の昔から降り続けて古びてしまった、という意味で、「ふり」には雪が「降り」と、古くなる意の「古り」が掛けられている。「にける」は完了と過去の助動詞である。第三句の「雪なれと」は、雪ではあるが、の意である。
下の句の「けふはことにも珍しき哉」は、今日はとりわけ珍しいことだ、という意味で、「ことに」は格別に、「かな」は詠嘆の終助詞である。太古の昔から変わらず降るありふれた雪も、和泉式部と心を通わせている今年は格別に新鮮に感じられると、初雪の喜びに恋の喜びを重ねている。
神代(かみよ):神々が治めていたとされる遠い昔
古る(ふる):古くなる
- 作者
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敦道親王
- 出典
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和泉式部日記
- 前の歌
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玉の緖はたえんものかは契りてし なかき心に結ひこめてき
- 次の歌
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初雪といつれの冬もみしまゝに 珍しけなきみのみふりつゝ