われさらは進みてゆかん君はたゝ
法の筵をひろむはかりそ
- 歌の意味
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それならば、私の方から進んで行こう。あなたはただ、仏法の座を広げて、私の座る所を用意してくれればよいのだ。
- 鑑賞
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出家をほのめかした夜の贈答ののちも、和泉式部はしみじみと悲しく思われて、嘆いてばかりいた。早く決心して邸に参っていればよかったと思っていた昼頃、帥の宮から文が届いた。
女は和泉式部のことで、大江雅致の娘であり、和泉守橘道貞の妻として小式部内侍をもうけた。帥の宮は冷泉天皇の第四皇子敦道親王で、大宰帥であったことからこう呼ばれる。
経を習っているので立って行けないという帥の宮の「あふみちは神の諫にあらねとも法の蓬にをれはたゝぬそ」に答えて、和泉式部はこの歌を返した。
二人はこのように歌を交わしながら日々を過ごした。やがて雪のひどく降る日に、帥の宮から、雪の積もった木の枝につけた歌が届くことになる。
初句と第二句の「われさらは進みてゆかん」は、それならば私の方から進んで行こう、という意味で、「さらば」はそれならば、「む」は意志の助動詞である。第三句の「君はたゝ」は、あなたはただ、の意である。
下の句の「法の筵をひろむはかりそ」は、仏法の座を広げるだけでよい、という意味で、「ひろむ」には座を敷き「広げる」意と、仏法を世に「広める」意が掛けられている。「ぞ」は強意の終助詞的な用法である。帥の宮の「法の」を受け、それなら自分が仏法の座に進んで出向こう、あなたは座を広げて待っていればよいと切り返し、冗談めかしながらも、帥の宮の邸に参る気持ちが固まりつつあることを示している。
筵(むしろ):わらや藺などで編んだ敷物。転じて座席、場所
広む(ひろむ):広げる、広める
- 作者
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和泉式部
- 出典
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和泉式部日記
- 前の歌
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あふみちは神の諫にあらねとも 法の蓬にをれはたゝぬそ
- 次の歌
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雪ふれは木々の木のはも春ならて をしなへ梅の花そ咲ける