春立つと思ひもあへぬ朝出でに
いつしか霞む音羽山かな
- 歌の意味
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春が立ったと思いきることもできないでいる朝の外出に、もういつのまにか霞んでいる音羽山であることよ。
- 鑑賞
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春歌 3
詞書は前の歌に続き「立つ春の朝よみける」
立春の朝の歌の三首目である。春になったという実感がまだ追いつかないうちに朝早く出かけると、音羽山がもう霞んでいた、という驚きを詠んでいる。季節の移り変わりが人の心よりも先に景色に現れるという発見が一首の眼目である。
前歌が山の端の霞から春を確かめたのに続き、この歌は具体的な山の名を挙げて、同じ霞の景を歌っている。心の準備よりも早く訪れる春に、新鮮な驚きが込められている。
初句「春立つと」は、立春を迎えたことをいう。「と」は二句の「思ふ」の内容を示す。
二句「思ひもあへぬ」の「あへぬ」は、動詞「あふ」に打消の「ず」の連体形が付いたもので、「すっかり~しきれない」意を表す。春になったと思いきれないうちに、という心の状態である。
三句「朝出でに」は、朝早く出かけることをいう。
四句「いつしか霞む」の「いつしか」は、いつのまにか、早くもの意で、思いが追いつく前に景色が先に春になっている驚きを表す。
結句「音羽山かな」は、山城と近江の境にある音羽山の名を挙げ、詠嘆の「かな」で結んでいる。
あさいで:朝早く外へ出かけること
おとはやま:山城国と近江国の境にある山
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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山の端の霞むけしきにしるきかな 今朝よりやさは春の曙
- 次の歌
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立ちかはる春を知れとも見せ顔に 年をへだつる霞なりけり