立ちかはる春を知れとも見せ顔に
年をへだつる霞なりけり
- 歌の意味
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入れ替わってやって来た春を知れとでも見せつけるかのように、旧年と新年とを隔てて立っている霞であったことだ。
- 鑑賞
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春歌 4
詞書は前の歌に続き「立つ春の朝よみける」
立春の朝の歌の四首目である。季節が入れ替わり春になったことを知れと言わんばかりに、霞が旧年と新年との間を隔てるように立ちこめている、と詠む。霞を、年の境目を目に見える形で示すものとしてとらえている。
霞が物と物とを隔てるという性質を、時間である年の境に当てはめたところに工夫がある。一連の立春の歌が、夢、山の端、音羽山と続いて、この歌で年そのものを隔てる霞へと視点を広げている。
初句「立ちかはる」は、入れ替わる、改まる意で、旧年から新年へと季節が替わったことをいう。「立ち」は霞が「立つ」の縁語となっている。
二句「春を知れとも」の「知れ」は命令形で、春が来たことを知れと言わんばかりに、という意を表す。
三句「見せ顔に」は、いかにも見せつけるような様子での意で、霞を擬人化している。
四句「年をへだつる」は、旧年と新年とを隔てることをいう。霞が景色を隔てる性質を、年の境に見立てている。
結句「霞なりけり」の「けり」は、そうであったと気づいた詠嘆を表し、年を隔てていたのは霞であったと結んでいる。
たちかはる:入れ替わる、改まる
みせがほ:いかにも見せつけるような顔つき
へだつ:間に物を置いて隔てる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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春立つと思ひもあへぬ朝出でに いつしか霞む音羽山かな
- 次の歌
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門ごとに立つる小松に飾られて 宿てふ宿に春は来にけり