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子の日して立てたる松に植ゑ添へん
千代重ぬべき年のしるしに

歌の意味
子の日の遊びをして引いてきた小松を、門に立てた松に植え添えよう。千年の齢を重ねるはずの年のしるしとして。
鑑賞
春歌 6

詞書「元日子の日にて侍りけるに」
 元日がちょうど子の日に当たった年の歌である。正月最初の子の日には野に出て小松を引き、長寿を祝う習わしがあった。その小松を、元日に門に立てた松に植え添えて、千年を重ねるめでたい年のしるしにしよう、と詠んでいる。
 元日の門松と子の日の小松という二つの祝いの松が重なったことを喜び、「千代重ぬ」と長寿の願いを重ね合わせている。前歌の門ごとに立てる小松を受けて、同じ松の祝いを子の日の行事へと展開させた配列である。

 初句「子の日して」は、正月最初の子の日に、野に出て小松を引き若菜を摘む遊びをして、の意である。
 二句「立てたる松に」は、元日に門に立てた松を指す。
 三句「植ゑ添へん」の「ん」は意志を表し、子の日に引いた小松をその松に植え加えようと詠んで、三句切れとなる。
 四句「千代重ぬべき」は、松にちなむ千年の長寿を重ねるはずの、の意である。元日と子の日という二つの祝いが重なったことも響かせている。
 結句「年のしるしに」は、めでたい年であることのしるしとして、の意で、三句の植え添える目的を倒置の形で示して結んでいる。

ねのひ:正月最初の子の日。野に出て小松を引き、長寿を祝った
うゑそふ:植え加える
作者
西行
出典
山家集
前の歌
門ごとに立つる小松に飾られて 宿てふ宿に春は来にけり
次の歌
山里は霞みわたれるけしきにて 空にや春の立つを知るらん