春知れと谷の細水漏りぞ来る
岩間の氷ひま絶えにけり
- 歌の意味
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春が来たと知れと言わんばかりに、谷の細い流れが漏れ出してくる。岩間に張りつめていた氷は切れ目ができて、とぎれてしまったのだ。
- 鑑賞
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春歌 10
詞書「題しらず」
谷の岩間に張っていた冬の氷が解けはじめ、細い水の流れが漏れ出してくる様子を詠む。その小さな流れを、春が来たことを知れと告げる知らせとしてとらえている。
霞や梅のような華やかな景物ではなく、谷川の細い水という目立たないものに春の兆しを見つけたところに、山に住む人の細やかなまなざしが感じられる。
初句「春知れと」は、春が来たことを知れと、の意で、谷の水が春の訪れを告げているかのように擬人化している。
二句「谷の細水」は、谷を細く流れる水をいう。
三句「漏りぞ来る」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形の「来る」で結ぶ係り結びとなり、三句切れとなる。氷のすき間から水が漏れ出てくる様子である。
四句「岩間の氷」は、岩と岩の間に張った氷で、冬の間、谷の流れを閉ざしていたものである。
結句「ひま絶えにけり」は、氷に切れ目ができて、張りつめていた氷がとぎれてしまったことをいい、詠嘆の「けり」で結んでいる。
ほそみづ:細く流れる水
もる:すき間から漏れ出る
ひま:すき間、切れ目
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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わきて今日逢坂山の霞めるは 立ち遅れたる春や越ゆらん
- 次の歌
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霞まずは何をか春と思はまし まだ雪消えぬみ吉野の山