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子の日する人に霞は先立ちて
小松が原をたなびきてけり

歌の意味
子の日の遊びをする人よりも先に霞が立って、小松の原一面にたなびいていたことだ。
鑑賞
春歌 15

詞書は前の歌に続き「子の日」
 子の日の遊びに出かけた人々が野に着くより先に、霞がすでに立って小松の原にたなびいていた、と詠む。霞を、人より先に子の日の野に出かけた者のように見立てている。
 子の日の行事を行う人と、自然の霞とを競わせるような見立てに興がある。前歌が小松を引く人の長寿を祝ったのに続き、同じ小松の原の景を霞とともに描いている。

 初句「子の日する」は、子の日の遊びをする、の意である。
 二句「人に霞は」は、人に対して霞は、の意で、人と霞とを比べる形になっている。
 三句「先立ちて」は、先に立って、の意で、「立ち」は霞が「立つ」の縁語である。霞を人より先に出かけた者のように擬人化している。
 四句「小松が原を」は、子の日に引く小松の生えた野原をいう。
 結句「たなびきてけり」は、霞が横に長くたなびいていた、の意で、気づきの「けり」で結んでいる。

さきだつ:先に立つ、先んじる
たなびく:雲や霞が横に長く引く
作者
西行
出典
山家集
前の歌
春ごとに野辺の小松を引く人は いくらの千代を経べきなるらん
次の歌
子の日しに霞たなびく野辺に出でて 初鶯の声を聞きつる