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子の日しに霞たなびく野辺に出でて
初鶯の声を聞きつる

歌の意味
子の日の遊びをしに、霞のたなびく野辺に出て、その年初めて鳴く鶯の声を聞いたことだ。
鑑賞
春歌 16

詞書は前の歌に続き「子の日」
 子の日の遊びのために霞のたなびく野に出たところ、その年初めての鶯の声を聞いた、という喜びを詠む。小松引きという行事の楽しみに、初音を聞く喜びが加わった春の一日である。
 前歌の「たなびきてけり」を受けるように、この歌でも「霞たなびく」野辺が描かれ、霞の景に鶯の声という聴覚の喜びが添えられている。子の日の三首は、長寿の祝い、霞、鶯と、少しずつ景を広げている。

 初句「子の日しに」は、子の日の遊びをするために、の意である。
 二句「霞たなびく」は、霞が横に長くたなびいている様子で、前歌の結句と同じ景を受け継いでいる。
 三句「野辺に出でて」は、野原に出て、の意で、字余りとなっている。
 四句「初鶯の」は、その年初めて鳴く鶯をいう。
 結句「声を聞きつる」は、完了の「つ」の連体形で結ぶ連体止めで、初音を聞いた喜びを余情として残している。

はつうぐひす:その年初めて鳴く鶯
作者
西行
出典
山家集
前の歌
子の日する人に霞は先立ちて 小松が原をたなびきてけり
次の歌
若菜摘む今日に初子のあひぬれば まつにや人の心ひくらん