春雨のふるのの若菜生ひぬらし
濡れ濡れ摘まんかたみたぬされ
- 歌の意味
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春雨が降る布留野の若菜は、もう生え出たらしい。濡れながらでも摘もう、籠を手に携えて。
- 鑑賞
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春歌 20
詞書「雨中若菜」
雨の中の若菜を題とする歌である。春雨の降る布留野では、雨に育まれて若菜がもう生え出たらしいと推し量り、濡れることもいとわずに摘みに出よう、と詠んでいる。
「ふる」に雨が「降る」と地名の「布留」とを掛け、春雨と若菜の野とを結びつけている。前歌までの雪の中の若菜に対し、雨に濡れながら摘む若菜を描いて、季節が進んだことを感じさせる。結句の「かたみたぬされ」は意味がとりにくいが、他の伝本では「かたみ手ぬきれ」と見え、籠に手を通して携えよ、の意に解される。
初句「春雨の」は、春に静かに降る雨で、二句の「ふる」を導いている。
二句「ふるのの若菜」の「ふる」は、雨が「降る」と、大和国の地名「布留」とを掛けた掛詞である。
三句「生ひぬらし」の「らし」は、根拠のある推定を表し、春雨によって若菜がもう生え出たらしいと推し量って三句切れとなる。
四句「濡れ濡れ摘まん」は、濡れながらも摘もう、の意で、「ん」は意志を表す。
結句「かたみたぬされ」の「かたみ」は竹で編んだ籠をいう。籠を手に携えて摘みに行こうという、若菜摘みの支度を描いて結んでいる。
ふる:雨が降る意と、大和国の地名布留を掛ける
かたみ:竹で目を細かく編んだ籠
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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春日野は年のうちには雪積みて 春は若菜の生ふるなりけり
- 次の歌
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若菜摘む野辺の霞にあはれなる 昔を遠くへだつと思へば