若菜摘む野辺の霞にあはれなる
昔を遠くへだつと思へば
- 歌の意味
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若菜を摘む野辺の霞にしみじみと心を動かされる。この霞が、懐かしい昔を遠く隔てていると思うと。
- 鑑賞
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春歌 21
詞書「若菜に寄せて古きを思ふと云ふ事を」
若菜に寄せて昔を思うという題の歌である。若菜を摘む野辺に立ちこめる霞を見て、この霞が懐かしい過去を遠く隔てているのだと思い、しみじみとした思いに浸っている。
霞が物を隔てるという性質を、今と昔との時間の隔たりに重ねている。若菜摘みという毎年繰り返される行事が、かえって過ぎ去った年月を思い起こさせる、という懐旧の心が込められている。
初句「若菜摘む」は、春の初めに野で若菜を摘むことをいう。
二句「野辺の霞に」は、若菜を摘む野原に立ちこめる霞に対して、の意である。
三句「あはれなる」は、しみじみと心が動かされる、の意で、ここで思いを言いさして三句切れとなる。
四句「昔を遠く」は、懐かしい過去を遠くに、の意である。
結句「へだつと思へば」は、霞が昔を隔てていると思うので、の意で、三句の感慨の理由を倒置の形で示して結んでいる。
へだつ:間に物を置いて隔てる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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春雨のふるのの若菜生ひぬらし 濡れ濡れ摘まんかたみたぬされ
- 次の歌
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卯杖つき七草にこそ老いにけれ 年を重ねて摘める若菜に