卯杖つき七草にこそ老いにけれ
年を重ねて摘める若菜に
- 歌の意味
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卯杖をつくほどに、七草を摘むたびにこそ老いてしまったことだ。年を重ねるごとに摘んできた若菜によって。
- 鑑賞
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春歌 22
詞書「老人の若菜と云ふ事も」
老人の若菜摘みを題とする歌である。毎年正月の七草の若菜を摘み続けてきたが、その年ごとの若菜摘みを重ねるうちに、杖をつくほどに年老いてしまった、と詠んでいる。
長寿を祈るための若菜摘みが、かえって積み重なった年齢を思い知らせるものになっているという、老いの哀感とおかしみが込められている。正月の祝いの杖である卯杖を、老人のつく杖と重ね合わせたところに工夫がある。
初句「卯杖つき」は、卯杖をついて、の意である。卯杖は正月の初卯の日に邪気払いとして贈られた杖で、ここでは老人のつく杖を重ねている。
二句「七草にこそ」の「こそ」は強意の係助詞で、三句の「けれ」と係り結びをなす。七草の若菜を摘むことでこそ、と強めている。
三句「老いにけれ」は、老いてしまったことだ、の意で、已然形「けれ」で結び三句切れとなる。
四句「年を重ねて」は、毎年を重ねて、の意で、年ごとの若菜摘みの繰り返しをいう。
結句「摘める若菜に」は、摘んできた若菜によって、の意で、老いた原因を倒置の形で示して結んでいる。
うづゑ:正月の初卯の日に邪気を払うため贈った杖
ななくさ:正月七日に摘んで粥に入れる七種の若菜
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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若菜摘む野辺の霞にあはれなる 昔を遠くへだつと思へば
- 次の歌
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若菜生ふる春の野守に我なりて 憂き世を人につみ知らせばや