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憂き身にて聞くも惜しきは鶯の
霞にむせぶ曙の山

歌の意味
つらいこの身で聞くのももったいないと思われるのは、霞の中でむせぶように鳴く鶯の声が響く、曙の山である。
鑑賞
春歌 24

詞書「寄鶯述懐」
 鶯に寄せて思いを述べるという題の歌である。曙の山で、霞にむせぶように鳴く鶯の声は、憂いの多いこの身で聞くにはもったいないほど美しい、と詠んでいる。
 春の美しい景物を前にしながら、自らの身の憂さを思わずにはいられない、という述懐の心が表れている。前歌の若菜に寄せた述懐に続き、鶯に寄せて同じく身の憂さを詠む配列となっている。

 初句「憂き身にて」は、つらいことの多いこの身で、の意である。
 二句「聞くも惜しきは」は、聞くのももったいないのは、の意で、美しいものを自分のような者が聞くのは惜しいという心を表す。
 三句「鶯の」は、四句の「霞にむせぶ」の主語となっている。
 四句「霞にむせぶ」は、霞の中で声を詰まらせるように鳴くことをいい、鶯の声を人の泣き声のように表している。
 結句「曙の山」は体言止めで、鶯の声が響く夜明けの山の景を示して結んでいる。

うきみ:つらいことの多い身
むせぶ:息が詰まるように声を詰まらせて泣く
作者
西行
出典
山家集
前の歌
若菜生ふる春の野守に我なりて 憂き世を人につみ知らせばや
次の歌
鶯の声ぞ霞に漏れて来る 人目乏しき春の山里