古巣うとく谷の鶯なり果てば
我やかはりてなかんとすらん
- 歌の意味
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谷の鶯がすっかり古巣から遠ざかってしまったなら、私が代わりに鳴き、また泣こうとするのだろうか。
- 鑑賞
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春歌 27
詞書「住みける谷に、鶯の声せずなりければ」
詞書によれば、自分の住んでいた谷で鶯の声が聞こえなくなったときの歌で、ここから四首が続く。鶯が古巣の谷にすっかり寄りつかなくなってしまったら、今度は私が鶯の代わりになって鳴くことになるのだろうか、と詠む。
「なく」に鶯が「鳴く」と人が「泣く」とを掛け、鶯の去った寂しさに涙する自分の姿を、ユーモアを交えて表している。谷の庵に住む者にとって、鶯の声がいかに大切な慰めであったかが伝わる歌である。
初句「古巣うとく」は、古巣から疎遠になって、の意で、字余りとなっている。
二句「谷の鶯」は、谷に住み、春になると里へ出ていくとされた鶯をいう。
三句「なり果てば」は、すっかりそうなってしまったなら、の意で、未然形に「ば」が付いた仮定の形である。
四句「我やかはりて」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなす。鶯の代わりに私が、の意である。
結句「なかんとすらん」の「なく」は、鶯が「鳴く」と人が「泣く」とを掛けた掛詞である。推量の「らん」で結び、鶯を失った寂しさを表している。
ふるす:以前に住んでいた巣
なく:鶯が鳴く意と、人が泣く意を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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鶯のはるさめさめと鳴きゐたる 竹の雫や涙なるらん
- 次の歌
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鶯は谷の古巣を出でぬとも 我が行方をば忘れざらなん