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鶯は我を巣守に頼みてや
谷の岡辺は出でて鳴くらむ

歌の意味
鶯は私を巣の番人として頼りにして、谷の岡辺を出て、よそで鳴いているのだろうか。
鑑賞
春歌 29

詞書は前の歌に続き「住みける谷に、鶯の声せずなりければ」
 一連の三首目である。谷で鶯の声がしなくなったのは、鶯が私を巣の留守番として当てにして、自分は谷の岡辺を出てよそで鳴いているからだろうか、と推し量っている。
 自分を鶯の巣守に見立てたところにユーモアがある。鶯の不在を嘆くのではなく、鶯との間柄を親しい頼み合いの関係として想像することで、寂しさを和らげている。

 初句「鶯は」は、前歌に続いて谷の鶯を取り立てている。
 二句「我を巣守に」は、私を巣の番人として、の意である。
 三句「頼みてや」は、頼りにして、の意で、「や」は疑問の係助詞として結句の「らむ」と係り結びをなす。
 四句「谷の岡辺は」は、谷のほとりの岡のあたりを、の意である。
 結句「出でて鳴くらむ」は、出てよそで鳴いているのだろうか、の意で、推量の「らむ」で結んでいる。

すもり:巣の番をする者、留守番
をかべ:岡のあたり
作者
西行
出典
山家集
前の歌
鶯は谷の古巣を出でぬとも 我が行方をば忘れざらなん
次の歌
春のほどは我が住む庵の友になりて 古巣な出でそ谷の鶯