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片岡に柴移りして鳴く雉
立つ羽音とて高からぬかは

歌の意味
片岡で柴から柴へと移りながら鳴く雉よ。その声ばかりか、飛び立つ羽音だからといって高くないことがあろうか。
鑑賞
春歌 34

詞書は前の歌に続き「雉を」
 雉の歌の四首目で、一連の結びである。片岡の柴の茂みを移りながら鳴く雉は、鳴き声が高いだけでなく、飛び立つときの羽音も高く響く、と詠んでいる。
 声だけでなく羽音にまで耳を傾けたところに、山野の生き物を身近に観察する目が感じられる。雉の一連は、声、待つ心、住みかを失う姿、羽音と、さまざまな面から雉を描いている。

 初句「片岡に」は、小高い岡に、の意である。
 二句「柴移りして」は、柴から柴へと移っていく様子をいう。
 三句「鳴く雉」は体言止めで、鳴き声の高い雉を示し、三句切れとなる。
 四句「立つ羽音とて」は、飛び立つときの羽音だからといって、の意である。
 結句「高からぬかは」の「かは」は反語で、高くないことがあろうか、いや高いのだ、と強く言い切って結んでいる。

かたをか:小高い岡
しば:野山に生える小さな雑木
はおと:鳥が羽ばたく音
作者
西行
出典
山家集
前の歌
春の霞家立ち出でて行きにけん 雉立つ野を焼きてけるかな
次の歌
香をとめん人にこそ待て山里の 垣根の梅の散らぬ限りは