柴の庵にとくとく梅の匂ひ来て
やさしき方もある住みかかな
- 歌の意味
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柴の庵に早くも梅の香が匂ってきて、粗末ながら優美な趣もある住まいであることよ。
- 鑑賞
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春歌 40
詞書「伊勢にもりやまと申す所に侍りけるに、庵に梅のかうばしく匂ひけるを」
詞書によれば、伊勢のもりやまという所に滞在していたとき、庵に梅がかぐわしく匂ってきたのを詠んだ歌である。柴で作った粗末な庵にも、早くも梅の香が漂ってきて、思いがけず優美な趣のある住まいになった、と喜んでいる。
質素な暮らしの中に訪れる梅の香を、住まいに添えられた風雅として受け止めている。旅先の仮住まいでの、ささやかな喜びが詠まれている。
初句「柴の庵に」は、柴で屋根をふいた粗末な住まいに、の意で、字余りとなっている。
二句「とくとく梅の」の「とくとく」は、早くも、すばやく、の意で、梅の香がいち早く届いた様子をいう。
三句「匂ひ来て」は、梅の香りが漂ってきて、の意である。
四句「やさしき方も」は、優美な趣も、の意で、粗末な庵との対比で用いられている。
結句「ある住みかかな」は、そういう趣のある住まいであることよ、と詠嘆の「かな」で結んでいる。
しばのいほ:柴で屋根をふいた粗末な住まい
すみか:住まい
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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梅が香を谷ふところに吹きためて 入り来ん人にしめよ春風
- 次の歌
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梅が香にたぐへて聞けば鶯の 声なつかしき春の山里