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梅が香にたぐへて聞けば鶯の
声なつかしき春の山里

歌の意味
梅の香に添えて聞くと、鶯の声がいっそう心ひかれる、春の山里であることよ。
鑑賞
春歌 41

詞書「梅に鶯鳴きけるを」
 梅の木で鶯が鳴いたのを詠んだ歌である。梅の香りとともに鶯の声を聞くと、その声がいっそう慕わしく感じられる、春の山里の情趣を詠んでいる。
 梅と鶯という春の代表的な取り合わせを、香りと声という嗅覚と聴覚の重なりによって描いている。結句「春の山里」は本巻の第二十五首と同じ結句で、霞から漏れてくる鶯の声に対し、ここでは梅の香に添えられた鶯の声が描かれている。

 初句「梅が香に」は、梅の香りに、の意である。
 二句「たぐへて聞けば」の「たぐふ」は添える、一緒にする意で、梅の香と一緒に鶯の声を聞くと、の意を表す。
 三句「鶯の」は、四句の「声」に続く。
 四句「声なつかしき」は、声が心ひかれる、慕わしい、の意である。
 結句「春の山里」は体言止めで、本巻の第二十五首と同じ結句を用い、香りと声の満ちる山里の景を示して結んでいる。

たぐふ:添える、一緒にする
作者
西行
出典
山家集
前の歌
柴の庵にとくとく梅の匂ひ来て やさしき方もある住みかかな
次の歌
作りおきし苔の衾に鶯は 身にしむ梅の香や匂ふらん