なにとなく軒なつかしき梅ゆゑに
住みけん人の心をぞ知る
- 歌の意味
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なんとなく軒先が慕わしく感じられる梅のために、かつてここに住んでいた人の心がわかることだ。
- 鑑賞
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春歌 44
詞書「古砌梅」
古い家の軒下に咲く梅を題とする歌である。今は住む人もない古い家の軒先に梅が咲いていて、なんとなく心ひかれる。その梅を見ていると、この梅を愛してここに住んでいた昔の人の心がわかる、と詠んでいる。
梅を通して、会ったこともない昔の住人と心を通わせるという、時を隔てた共感が詠まれている。軒先の梅が、家に残された住人の心のかたみのように描かれている。
初句「なにとなく」は、どういうわけということもなく、の意である。
二句「軒なつかしき」は、軒先が慕わしく感じられる、の意である。
三句「梅ゆゑに」は、梅のために、梅によって、の意で、理由を示す。
四句「住みけん人の」の「けん」は過去の推量で、かつて住んでいたであろう人の、の意である。
結句「心をぞ知る」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形の「知る」と係り結びをなし、その人の心がわかることだ、と結んでいる。
みぎり:軒下の石畳。また庭
のき:屋根の端の、建物の外に張り出した部分
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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ひとり寝る草の枕の移り香は 垣根の梅の匂ひなりけり
- 次の歌
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春雨の軒たれこむるつれづれに 人に知られぬ人の住みかか