春雨の軒たれこむるつれづれに
人に知られぬ人の住みかか
- 歌の意味
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春雨が軒から垂れ落ち、簾を垂れて家にこもっているこのつれづれの中で思えば、ここは人に知られずに暮らす人の住みかなのだなあ。
- 鑑賞
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春歌 45
詞書「山家春南と云ふ事を、大原にてよみけるに」
詞書によれば、大原で山家の春雨という題を詠んだ歌である。詞書の「春南」は、歌の内容から「春雨」の意と解される。春雨が軒から滴り、家にこもって過ごすつれづれの中で、ここは世間の人に知られることもなく暮らす者の住まいなのだ、とあらためて感じている。
大原は都の北の山里で、世を逃れた人々が隠れ住んだ地である。降り続く春雨に閉ざされた静けさの中で、世間から離れて生きる自らの境遇を見つめている。
初句「春雨の」は、春に静かに降り続く雨をいう。
二句「軒たれこむる」の「たれこむ」は、雨が軒から「垂れ」る意と、簾を垂れて家に「こもる」意とを掛けている。
三句「つれづれに」は、することもなく退屈で物寂しいままに、の意である。
四句「人に知られぬ」は、世間の人に知られない、の意で、隠れ住む者の暮らしを示す。
結句「人の住みかか」の「か」は詠嘆を表し、人知れず暮らす者の住まいであることよ、と自らの境遇に感じ入って結んでいる。
たれこむ:雨が軒から垂れる意と、簾を垂れて家に閉じこもる意を掛ける
つれづれ:することもなく退屈で物寂しいこと
おほはら:京の北にある山里。隠棲の地として知られた
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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なにとなく軒なつかしき梅ゆゑに 住みけん人の心をぞ知る
- 次の歌
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なにとなくおぼつかなきは天の原 霞に消えて帰る雁がね