山里へ誰をまたこはよぶこ鳥
ひとりのみこそ住まんと思ふに
- 歌の意味
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この山里へ、いったい誰をまた来いと呼ぶのか、呼子鳥よ。私はひとりきりで住もうと思っているのに。
- 鑑賞
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春歌 49
詞書「山家喚子鳥」
山里の呼子鳥を題とする歌である。人を呼ぶような声で鳴く呼子鳥に向かって、私はこの山里にひとりで住もうと思っているのに、いったい誰をまた呼ぼうとしているのか、と問いかけている。
「よぶこ鳥」の名に「呼ぶ」の意を重ね、鳥の声を人を招く声として聞いている。孤独な山住みを選んだ心と、人を呼ぶ鳥の声との食い違いに、ほのかな可笑しみと寂しさがにじんでいる。
初句「山里へ」は、この山里へ、の意で、人の訪れのまれな住まいを示す。
二句「誰をまたこは」は、いったい誰をまたここへ、の意で、問いかけの形をとる。
三句「よぶこ鳥」の「よぶ」は、鳥の名の「呼子鳥」と、人を「呼ぶ」意とを掛けた掛詞で、三句切れとなる。
四句「ひとりのみこそ」の「こそ」は強意の係助詞であるが、結句が接続助詞で下に続くため、結びは流れている。
結句「住まんと思ふに」は、住もうと思っているのに、の意で、逆接の「に」で鳥への不満をほのめかして結んでいる。
よぶこどり:春に人を呼ぶような声で鳴く鳥。鳥の名と、人を呼ぶ意を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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玉章の端書きかとも見ゆるかな 飛び遅れつつ帰る雁がね
- 次の歌
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苗代の水を霞はたなびきて 打樋の上にかくるなりけり