雲なくておぼろなりとも見ゆるかな
霞かかれる春の夜の月
- 歌の意味
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雲がないのに、おぼろに見えることだ。霞のかかっている春の夜の月は。
- 鑑賞
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春歌 51
詞書「霞に月の曇れるを見て」
霞のために月がかすんでいるのを見て詠んだ歌である。空には雲もないのに月がおぼろに見えるのは、霞がかかっているからで、それこそが春の夜の月の姿だ、と詠んでいる。
秋の澄んだ月に対して、春の月は霞にかすむおぼろ月としてめでられた。雲によらず霞によって月が曇るという、春ならではの月の趣をとらえている。
初句「雲なくて」は、雲がないのに、の意である。
二句「おぼろなりとも」は、ぼんやりかすんでいると、の意である。
三句「見ゆるかな」は、そう見えることよ、と詠嘆の「かな」で三句切れとなる。
四句「霞かかれる」は、霞がかかっている、の意で、「る」は存続を表す。月がおぼろに見える理由を示している。
結句「春の夜の月」は体言止めで、霞にかすむ春の夜の月を示して結んでいる。上の句と下の句が倒置となっている。
かかる:霞などが覆うようにかぶさる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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苗代の水を霞はたなびきて 打樋の上にかくるなりけり
- 次の歌
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山賤の片岡かけて占むる庵の 境に見ゆる玉の緒柳