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水底に深き緑の色見えて
風になみよる川柳かな

歌の意味
水底に深い緑の色が映って見えて、風に吹かれて、波が寄せるようにそろってなびき寄る川柳であることよ。
鑑賞
春歌 55

詞書「水辺柳」
 水辺の柳を題とする歌である。川の水底に柳の深い緑が映り、風が吹くと、川面の波とともに柳の枝がそろってなびき寄る様子を詠む。
 水に映る柳の緑と、風に揺れる柳の枝とを重ね、水と柳とが一体となった景を描いている。柳の歌が、山家、雨、風、水辺と、さまざまな場面で詠み継がれている。

 初句「水底に」は、川の水の底に、の意である。
 二句「深き緑の」は、柳の濃い緑色の、の意である。
 三句「色見えて」は、その色が水に映って見えて、の意である。
 四句「風になみよる」の「なみよる」は、川面の「波」が寄せる意と、柳の枝が「並み」そろってなびき寄る意とを掛けている。
 結句「川柳かな」は、川辺の柳であることよ、と詠嘆の「かな」で結んでいる。

みなそこ:水の底
かはやなぎ:川辺に生える柳
なみよる:波が寄せる意と、枝が並んでなびき寄る意を掛ける
作者
西行
出典
山家集
前の歌
見渡せば佐保の河原にくりかけて 風に縒らるる青柳の糸
次の歌
待つにより散らぬ心を山桜 咲きなば花の思ひ知らなん