待つにより散らぬ心を山桜
咲きなば花の思ひ知らなん
- 歌の意味
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花を待つことによって、ほかのことに散ることのない私の心を、山桜よ、咲いたならば花のほうでも思い知ってほしい。
- 鑑賞
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春歌 56
詞書「待花忘他」
花を待って他のことを忘れるという題の歌で、ここから桜の歌が始まる。ひたすら花を待ち、ほかのことには少しも心を散らさない私の思いを、山桜よ、咲いたあかつきには分かってほしい、と桜に呼びかけている。
「散らぬ心」と、散ることを本性とする桜とを向き合わせたところに工夫がある。花の散ることを惜しむ心とは逆に、自分の心は散らないと言い、花への一途な思いを表している。
初句「待つにより」は、花を待つことによって、の意である。
二句「散らぬ心を」は、ほかのことに散らない一途な心を、の意で、「散る」は桜の縁語となっている。
三句「山桜」は、山に咲く桜への呼びかけである。
四句「咲きなば花の」は、咲いたならば、花のほうでも、の意である。
結句「思ひ知らなん」の「なん」は他に対する願望を表し、思い知ってほしい、と桜に願って結んでいる。
おもひしる:身にしみて理解する
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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水底に深き緑の色見えて 風になみよる川柳かな
- 次の歌
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誰かまた花を尋ねて吉野山 苔踏み分くる岩伝ふらん