- 歌の意味
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私のほかに誰がまた、花を尋ねて吉野山の苔を踏み分けながら、岩づたいに歩いているだろうか。
- 鑑賞
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春歌 57
詞書「独尋山花」
ひとりで山の花を尋ねるという題の歌である。吉野山の苔むした岩道を踏み分けて花を探し歩きながら、自分のほかに誰がこのような山道を花を求めて伝い歩いているだろうか、と思いを巡らせている。
深山の険しい道をたどって花を求める姿に、桜に心を寄せる者の孤独と一途さが表れている。吉野山は桜の名所であり、以後の桜の歌でも繰り返し詠まれる。
初句「誰かまた」は、私のほかに誰がまた、の意で、「か」は疑問の係助詞として結句の「らん」と係り結びをなす。
二句「花を尋ねて」は、桜の花を探し求めて、の意である。
三句「吉野山」は、大和国の桜の名所である。
四句「苔踏み分くる」は、苔を踏み分けて進む、の意で、人の通わない深山の道を示す。
結句「岩伝ふらん」は、岩から岩へ伝い歩いているのだろうか、の意で、初句の「か」を受けて推量の「らん」で結んでいる。
たづぬ:探し求める
ふみわく:草や苔を踏み分けて進む
いはづたふ:岩から岩へ伝って行く
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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待つにより散らぬ心を山桜 咲きなば花の思ひ知らなん
- 次の歌
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今さらに春を忘るる花もあらじ 安く待ちつつ今日も暮らさん