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おぼつかないづれの山の峰よりか
待たるる花の咲きはじむらん

歌の意味
気がかりなことだ。どの山の峰から、待たれている花は咲きはじめるのだろう。
鑑賞
春歌 59

詞書は前の歌に続き「待花」
 花を待つ歌の二首目である。待ちこがれている桜は、いったいどの山の峰から咲きはじめるのだろう、と気がかりに思う心を詠んでいる。
 前歌で安らかに待とうと言い聞かせた心が、この歌ではやはり落ち着かず、どこから咲くのかと思い巡らせている。待つ心の揺れが、二首の並びによって描き出されている。

 初句「おぼつかな」は、形容詞「おぼつかなし」の語幹で、気がかりだ、と詠嘆する初句切れである。
 二句「いづれの山の」は、どの山の、の意である。
 三句「峰よりか」の「か」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなす。
 四句「待たるる花の」の「るる」は自発を表し、自然と待たれる花の、の意である。
 結句「咲きはじむらん」は、咲きはじめるのだろうか、の意で、推量の「らん」で結んでいる。

みね:山の頂
作者
西行
出典
山家集
前の歌
今さらに春を忘るる花もあらじ 安く待ちつつ今日も暮らさん
次の歌
空に出でていづくともなく尋ぬれば 雲とは花の見ゆるなりけり