吉野山雲をはかりに尋ね入りて
心にかけし花を見るかな
- 歌の意味
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吉野山の、雲を目当てにして奥深く尋ね入って、ずっと心にかけていた花を見ることだ。
- 鑑賞
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春歌 62
詞書「花の歌あまたよみけるに」
花の歌を多く詠んだ折の歌で、ここから二十五首にわたる桜の歌が続く。吉野山で、花と見える白雲を目当てに山深く分け入り、ずっと心にかけてきた花をついに目にした喜びを詠んでいる。
前歌までの花を待つ心が、ここで花を見る喜びへと至っている。雲を目当てにするという言い方に、雲と見まがう桜の見立てが込められており、「かけし」は雲がかかることとも響き合っている。
初句「吉野山」は、大和国の桜の名所である。
二句「雲をはかりに」は、雲を目当てとして、の意である。白雲と見まがう桜の群れを目指して山に入ることをいう。
三句「尋ね入りて」は、探し求めて山の奥深く入って、の意で、字余りとなっている。
四句「心にかけし」は、ずっと心にかけていた、の意である。「かけ」は二句の雲が「かかる」ことと響き合う。
結句「花を見るかな」は、その花を見ることよ、と詠嘆の「かな」で念願がかなった喜びを表して結んでいる。
はかり:目当て、目安
たづねいる:探し求めて奥深く入る
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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雪閉ぢし谷の古巣を思ひ出でて 花にむつるる鶯の声
- 次の歌
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思ひやる心や花に行かざらん 霞こめたるみ吉野の山