- 歌の意味
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遠くから思いを馳せる私の心は、花のもとまで行き着かないのだろうか。霞がすっかり包みこんでいるみ吉野の山では。
- 鑑賞
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春歌 63
詞書は前の歌に続き「花の歌あまたよみけるに」
遠く吉野の花に思いを馳せる歌である。吉野の山は霞にすっかり包まれているので、遠くから花を思いやる私の心も、霞に隔てられて花のもとまでは届かないのだろうか、と詠んでいる。
前歌で実際に吉野の花を見た喜びに対し、この歌では遠くから吉野の花を思う心が描かれている。結句「み吉野の山」は本巻の第十一首と同じで、そこでは雪の残る吉野に霞だけが春を告げていたが、ここでは霞が花を思う心を隔てている。
初句「思ひやる」は、遠く離れたものに思いを馳せる、の意である。
二句「心や花に」の「や」は疑問の係助詞で、三句の「ん」と係り結びをなす。
三句「行かざらん」は、行き着かないのだろうか、の意で、三句切れとなる。
四句「霞こめたる」は、霞がすっかり包みこんでいる、の意で、心が届かない理由を示す。
結句「み吉野の山」は体言止めで、本巻の第十一首と同じ結句を用い、霞に包まれた吉野の山を示して結んでいる。
おもひやる:遠く離れたものに思いを馳せる
こむ:中に包みこむ
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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吉野山雲をはかりに尋ね入りて 心にかけし花を見るかな
- 次の歌
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おしなべて花の盛りになりにけり 山の端ごとにかかる白雲