古典和歌stream

白川の梢を見てぞ慰むる
吉野の山に通ふ心を

歌の意味
白川の桜の梢を見て、慰めることだ。遠く吉野の山へと通っていく心を。
鑑賞
春歌 69

詞書は前の歌に続き「花の歌あまたよみけるに」
 京の白川の桜を見て、遠い吉野の花へと通っていく心を慰めている、と詠む。吉野の花に心ひかれながらも、すぐには行けない身にとって、身近な白川の桜がその思いを慰めてくれるのである。
 白川は都の東にあって桜の名所として知られた地である。遠い吉野と身近な白川とを対比させ、吉野へ向かう心の強さを、慰めを必要とするほどのものとして表している。

 初句「白川の」は、京の東、白河の地の、の意で、桜の名所である。
 二句「梢を見てぞ」の「ぞ」は強意の係助詞で、三句の連体形「慰むる」と係り結びをなす。
 三句「慰むる」は、慰めることだ、の意で、係り結びにより三句切れとなる。
 四句「吉野の山に」は、遠く大和国の吉野の山に、の意である。
 結句「通ふ心を」は、通っていく心を、の意で、慰める対象を倒置の形で示して結んでいる。

しらかは:京の東、白河の地。桜の名所
なぐさむ:心を慰める
かよふ:行き来する。ここでは心が向かっていく
作者
西行
出典
山家集
前の歌
花見ればそのいはれとはなけれども 心のうちぞ苦しかりける
次の歌
白川の春の梢の鶯は 花の言葉を聞く心地する