花に染む心のいかで残りけん
捨て果ててきと思ふ我が身に
- 歌の意味
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花に深く染まる心が、どうして残っていたのだろう。俗世への思いはすっかり捨て果ててしまったと思っている我が身に。
- 鑑賞
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春歌 76
詞書は前の歌に続き「花の歌あまたよみけるに」
出家して俗世への執着をすべて捨てたと思っていた自分に、どうして花に深く心を染める思いが残っていたのだろう、と自らを省みる歌である。
出家者としての覚悟と、どうしても捨てきれない花への愛着との間で揺れる心を、率直に見つめている。西行の生き方そのものを映す一首であり、『千載和歌集』に入集している。
初句「花に染む」は、花に深く心を染める、の意で、花への強い執着を表す。
二句「心のいかで」は、心がどうして、の意である。
三句「残りけん」の「けん」は過去の原因の推量を表し、どうして残っていたのだろう、と自問して三句切れとなる。
四句「捨て果ててき」は、すっかり捨ててしまった、の意で、過去の「き」によって出家の決意を示している。
結句「思ふ我が身に」は、そう思っている我が身に、の意で、心が残っていた場所を倒置の形で示して結んでいる。
そむ:色や思いが深くしみこむ
すてはつ:すっかり捨てる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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桜咲く四方の山辺をかぬる間に のどかに花を見ぬ心地する
- 次の歌
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願はくは花の下にて春死なん その如月の望月のころ