のどかなれ心をさらに尽くしつつ
花ゆゑにこそ春は待ちしか
- 歌の意味
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落ち着いてくれ、わが心よ。これまでさんざん心を尽くしながら、花のためにこそ春を待っていたのだから。
- 鑑賞
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春歌 82
詞書は前の歌に続き「花の歌あまたよみけるに」
花が咲いた今、せめて落ち着いて花を味わおう、と自らの心に呼びかける歌である。花のためにこそ、これまで心を尽くして春を待ってきたのだから、と言い聞かせている。
花を待つ間の気苦労を思い返しつつ、ようやく咲いた花を前にしてもなお落ち着かない心をなだめている。花を待つ歌と花を見る歌とをつなぐような心の動きが詠まれている。
初句「のどかなれ」は、形容動詞「のどかなり」の命令形で、落ち着いてくれ、と自らの心に呼びかける初句切れである。
二句「心をさらに」は、心をいっそう、の意である。
三句「尽くしつつ」は、心を尽くしながら、の意で、花を待つ間の気苦労をいう。
四句「花ゆゑにこそ」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の已然形「しか」と係り結びをなす。
結句「春は待ちしか」は、春を待っていたのだ、の意で、過去の「き」の已然形「しか」で結び、初句の呼びかけの理由を示している。
つくす:心のかぎりを尽くす
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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思ひやる高嶺の雲の花ならば 散らぬ七日は晴れじとぞ思ふ
- 次の歌
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風越の峰の続きに咲く花は いつ盛りともなくや散りけん